“とろり”として 軟らかくておいしい  あんぽ柿の作り方

大和柿をご購入いただいた兵庫県の藤井さまが、干し柿についてレポートにまとめてくださったので、許可をいただき掲載させていただきます。

 

 

私たちが食べたいと目指したようなあんぽ柿は、おそらくお店では買うことができないでしょう。それは、軟らかすぎて、取り扱いや搬送などが難しく、カビも生えやすいと思われるからです。

干した柿が、軟らかくなるのを楽しみに毎日観察しながら、出来上がったらすぐ口にする、そのような作り方をされる方に適したあんぽ柿作りです。

 おそらく、一度口にしたら、その味はもう忘れることができないでしょう。昨秋、知人や親戚に、できたものをすぐ食べてもらいましたら、「これほど、甘くて上品な干し柿は食べたことがない。」と、それこそ大好評でした。特に、三木様の大和柿で作ったあんぽ柿は、最高の出来栄えでした。
昨秋の干し柿作りが終わるや否や、すぐに次の秋が待ち遠しくなったほどの私たちです。
ここでは、はじめにあんぽ柿の作り方、条件などを紹介し、その後作った結果をまとめることにします。


あんぽ柿の作り方
 原料柿からあんぽ柿が出来上がるまで(工程)
 原料柿から、あんぽ柿が出来上がるまでの手順は、次のとおりです。ごく普通の工程です。
 それぞれの工程について、1.以降で説明します。

① 原料柿
      ↓
② 追 熟
         ↓
③ 皮むき
         ↓
④ 消毒(硫黄燻蒸または熱湯消毒)
         ↓
⑤ 自然乾燥
         ↓
⑥ 柿もみ
         ↓
⑦ 取り入れ


1.原料柿
 主に、徳島の阿波北方農園が生産された大和柿(以下、「阿波の大和柿」と記します)を対象に、甘くて軟らかい干し柿の作り方を調べました。
 その他、比較のために、市販の大和柿(以下、「市販大和柿」と記します)、西条柿、愛宕柿、市販の大きな柿(富士柿と思われます。以下、「大形の柿」と記します)などを使いました。
 それぞれの原料柿の1個当たりの重さは、次のとおりです。なお、入手時期を()内に示しました。

阿波の大和柿 ① 約190g(2006年11月18日)
② 約170g(2006年11月20日)
      ③ 約180g(2006年12月2日)

市販大和柿   約220g(2006年12月20日)

愛宕柿     約220g(2006年12月2日)

西条柿     約120g(2006年11月5日)

大形の柿    約320g(2006年11月14日)

 作り方は、上記のとおり、主に阿波の大和柿を対象に調べました。その他の原料柿についても、作った結果を適宜付記します。
 なお、原料柿は、柿の色、へたの状態、果実の硬さなどから判断される適正な時期に収穫された柿であることが大切のようですが、この点は生産者に頼らざるを得ません。


2.追熟(ついじゅく)
 軟らかい干し柿作りには、もっとも重要な処理です。経験してはじめて分かったことです。追熟は、入手した原料柿を放置しておくことによって進みます。
 追熟の程度は、次の4レベルで表すことにします。

追熟レベル1:追熟なし
原料柿が硬く、皮むき時、包丁にゴリゴリとした抵抗を受ける状態

追熟レベル2:追熟1週間前後
原料柿にわずかに軟らか味を感じ、皮むき時、包丁への抵抗が弱く、
皮むき後の表面に多少ぬめりがある状態

追熟レベル3:追熟1週間~10日前後
原料柿の表層部に多少軟らか味があり、皮むき時、包丁への抵抗が小
さく、皮むき後の表面にかなりぬめりがある状態

追熟レベル4:追熟1~2週間
      原料柿が熟して軟らかく、皮むきがしにくくなっている状態

 

上記の追熟の程度は、皮むき後の自然乾燥に要する日数、干した後の軟らかさ、甘みなどに大きな影響を及ぼします。そのため、適度の追熟状態(追熟レベル2または3)を把握し、その段階で皮むきすることが大切です。その点は、結果の欄で説明します。なお、追熟レベル4は、軟らかすぎて、干し柿作りには向きません。
 追熟に要する日数は、原料柿の熟し方、追熟時の天候(気温)などのよって異なると思われます。


3.皮むき
 皮むきには、ステンレス鋼製の包丁がいいようです。柿渋は鉄(Fe)と反応する性質があるようなので、反応しにくいステンレス鋼製の方がいいのではないかと思われます。
 原料柿は、通常成り枝がT字形に残してあります。その周りのへた(殻の部分)は、中心部を除いて切り取っておきます。
 皮むきを行った柿は、今回は、4~8個ずつ、T字形の成り枝部をビニール紐に通し、連作りにしました。

 
4.硫黄薫蒸と熱湯消毒
 皮むき後、カビ防止のために、硫黄薫蒸または熱湯消毒を行います。今回の調査では、主に硫黄薫蒸を行いました。比較のために、一部熱湯消毒も行いました。

(1)硫黄薫蒸
 今回行った硫黄薫蒸の方法は、次のとおりです。
  ① 皮むき後、表面が乾燥しないうちに、連作りにした柿を木枠の中に吊るす。
  ② 木枠に、ポリエチレン製のカバーを被せる。
  ③ 硫黄を準備する。
  ④ 容器の中の硫黄(写真1の木枠内に置かれた容器に入っているものです)
    に着火し、カバーの中に入れる(写真1)。

 硫黄薫蒸の条件(特に、害はなく、薫蒸の効果が得られるとされている条件)

   硫黄の量:1m3当たり約15g
   薫蒸時間:30分程度
   硫黄:近所の薬局にはなかったので、インターネットで理科の実験用の硫
黄(500g入り、純度99%以上)を購入しました。

   硫黄の使い方:燃えにくい容器にしわにした紙を敷き、硫黄を広げて紙に
火を着けると、硫黄が端の部分から少しずつ燃えていきます。急に燃え上がることはありません。

   柿を入れる囲い:燃えた硫黄のガスが漏れなければ、どのようなものでも利
      用できます。箱(段ボール、プラスチックなど)、脚立にビニールシ
      ートを被せたものなどでもいいでしょう。ただし、ガスが漏れないよ
      うにすることが大切です。写真1では、柿の量が少ないですが、柿同
      士が接触しない程度に詰めてもいいはずです。
                           
(2)熱湯消毒
 熱湯に、連作りにした柿をさっと通します。

写真1
写真1
写真2
写真2

5.自然乾燥
 日陰干しが良いと書いてあるものもありますし、日に当てる方が良いとするものもあります。日陰と日向の比較も行いました。日陰に干した状態は、写真2のとおりです。日向の場合は、軒先に吊るしました。

6.柿もみ
 干して数日~1週間程度すると、表面側から少しずつ軟らかくなってきます。軟らかくなり始めたら、皮が破れないように注意して、手で柿を揉みほぐします。その方が、内部まで熟す期間が早くなるようです。柿もみをしないと、内部まで軟らかくなったときには、全体が乾燥しすぎになり、軟らかいあんぽ柿に仕上がりにくいようです。
 なお、柿もみをする際には、細菌の付着を防止するために、薄手のビニールの手袋を使いました。

7.取り入れ
 全体が軟らかくなったら、出来上がりです。

 

調査した結果
1.原料柿と出来上がったあんぽ柿
原料柿
出来上がったあんぽ柿

原料柿

出来上がったあんぽ柿

 

 

阿波の大和柿         

種がほとんどなく、とろりとして上品でとても甘いあんぽ柿ができました。大きさが、軟らかいあんぽ柿作りにちょうどいいのと、柿の木で十分熟したものが収穫されているためと思われます。種がありませんので、食べやすく、中身が多いというのも素晴らしい特徴です。

市販大和柿

芯部にやや筋がある感じでしたが、種も比較的少なく、三木大和柿に次いで、いいあんぽ柿ができました。

 

愛宕柿

大和柿に比べて、干した後の表面が少々硬くなり、そのためか、縦方向にくぼみが入ったものが多く、とろりとした感じにはやや欠ける仕上がりになりました。

 

西条柿

甘く、比較的おいしいあんぽ柿ができました。ただし、小形の原料柿が多く、その上種が多いため、食べにくいのが難点です。早い時期から市場に出回る品種のようです。

 

大形の柿

自然乾燥に日数がかかり、その間に全体が硬めになってしまいました。あまり大きすぎる柿は、とろりとしたあんぽ柿作りには向いていないようです。甘味もやや弱い感じでした。



阿波の大和柿         

種がほとんどなく、とろりとして上品でとても甘いあんぽ柿ができました。大きさが、軟らかいあんぽ柿作りにちょうどいいのと、柿の木で十分熟したものが収穫されているためと思われます。種がありませんので、食べやすく、中身が多いというのも素晴らしい特徴です。
市販大和柿 芯部にやや筋がある感じでしたが、種も比較的少なく、三木大和柿に次いで、いいあんぽ柿ができました。

愛宕柿

大和柿に比べて、干した後の表面が少々硬くなり、そのためか、縦方向にくぼみが入ったものが多く、とろりとした感じにはやや欠ける仕上がりになりました。

西条柿

甘く、比較的おいしいあんぽ柿ができました。ただし、小形の原料柿が多く、その上種が多いため、食べにくいのが難点です。早い時期から市場に出回る品種のようです。

大形の柿

自然乾燥に日数がかかり、その間に全体が硬めになってしまいました。あまり大きすぎる柿は、とろりとしたあんぽ柿作りには向いていないようです。甘味もやや弱い感じでした。

 写真3は硫黄薫蒸を行ったものの外観です。とても鮮やかなオレンジ色です。内部は、表紙の写真および写真4の拡大写真でお分かりのように、ジャムのようにとろりとして、種もありません。甘さも上品で申し分ありません。

 

 

写真3  阿波の大和柿の外観
写真3  阿波の大和柿の外観
写真4 阿波の大和柿の内部(左半部)
写真4 阿波の大和柿の内部(左半部)

写真5 愛宕柿の外観
写真5 愛宕柿の外観
写真6 愛宕柿の内部(左半部)
写真6 愛宕柿の内部(左半部)

愛宕柿は、5ページの表および写真5に示したように、大和柿に比べて、干した後の表面が少々硬く、縦方向にくぼみが入ったものが多く

、凸凹した感じでした。内部は、写真6に示したように、中心部に芯状の筋があり、とろりとした感じにもやや欠ける仕上がりになりました。 

2.追熟の効果

 原料柿の追熟は、軟らかいあんぽ柿作りには、とても大切です。今回の調査では、定量的なデータは得られていませんが、

追熟の効果を定性的に表すと、次のグラフのようになります。

 
 図1 追熟レベルと、とろり感および出来上がりまでの日数との関係
 図1 追熟レベルと、とろり感および出来上がりまでの日数との関係

追熟は、レベル2以上、すなわち原料柿の皮むき時に、包丁が抵抗なく進み、皮むき後の表面にぬめりがある状態以上とすることが大切です。ただし、レベル4の状態では、柿が軟らかすぎて、干すことが難しくなります。したがって、レベル2または3の状態まで追熟するのが適切です。

 追熟レベル2~3の適切な追熟の状態で自然乾燥を始めた場合は、1週間ないし2週間であんぽ柿が出来上がります。その程度の期間で乾燥したものは、中が軟らかく、とろりとしています。また、乾燥時間が短く、水分が多く残っていますので、始めの重さの50~60%程度の重さに仕上がります。

(ご参考:以前の経験では、十分乾燥させて硬い干し柿にした場合、始めの重さの30%以下程度になりました。)
 追熟が不十分で、乾燥に時間がかかりすぎる場合は、全体が硬めになり、とろりとしたあんぽ柿を作ることはできません(グラフの追熟レベル1)。

 追熟の期間は、原料柿が収穫された時の熟し方の程度、収穫から入手までの期間、追熟させる時の気候(気温)、柿の大きさなどによって異なるはずですが、1週間~10日程度がひとつの目安と思われます。

3.硫黄薫蒸の効果
 写真7の右側は、熱湯消毒を行った後、日陰で自然乾燥させた阿波の大和柿の外観です。左側は、硫黄薫蒸を行ったものです。この写真は、下部まで黒くなっていませんが、硫黄薫蒸を行わない場合には、どうしても表面全体が黒くなってしまいました。ただし、内部は硫黄薫蒸を行ったものと変わりがありません。自然乾燥の期間、とろり感、甘味などは、熱湯消毒と硫黄薫蒸との相違がありませんでした。


写真7 熱湯消毒を行った後自然乾燥させた阿波の大和柿の外観(右側
写真7 熱湯消毒を行った後自然乾燥させた阿波の大和柿の外観(右側

4.日陰干しと天日干しとの比較

 硫黄薫蒸を行った原料柿について、日陰干しと天日干しとを比較した結果では、はっきりした相違は認められませんでした。写真3または写真7の左側のように、いずれも鮮やかなオレンジ色に仕上がりました。
 



とろりとしたあんぽ柿作りのキーポイント

 いろいろと書きましたので、作り方が難しいとお感じかもしれませんが、決して難しくはありません。

下記の点に注意する程度で、おいしいあんぽ柿を作ることができます。

・適度の大きさの原料柿を選ぶ(150~250g程度が作りやすい)

・適度な追熟を行う(目標は追熟レベル2~3です)

・自然乾燥の途中で柿もみを行う

・鮮やかなオレンジ色に仕上げるには、硫黄薫蒸を行う

・できれば、阿波の大和柿のような種のない原料柿を選ぶ

 これで、どなたでも、とろりとしたおいしいあんぽ柿を作ることができます。
 ぜひ、試してみてください。

 干し柿には、十分乾燥させた硬めの干し柿もあります。そのような干し柿や、原料柿の種類それぞれに合った干し柿にも、それぞれ長所があります。また、硬い干し柿は好きでも、軟らかいあんぽ柿を好まない方もあります。
 この資料は、私たちの防備録として、また、軟らかいあんぽ柿作りを目指す方のご参考になればと作成したものであることをご理解ください

 

 

追記

ここまで、わずかな経験を基に、ごく基本的なことをまとめました。その後、2、3新たに分かってきたことがありますので、

追補編として補充することにします

 とろりとしたあんぽ柿作りに、もっとも影響の大きい追熟について、ごく基本的なことを前編で紹介しましたが、追熟の程度の見極め、

適度な追熟のさせ方にひと工夫してみてもいいことが分かりました。

 また、どの程度を干し上がりにするか、作った干し柿をできるだけ長く保存して、おいしく味わうにはどうしたらいいかなどということも、

少しずつ分かってきました。

 ここで紹介することは、特に守らなければならないことではありません。干し柿作りに興味が湧いて、いろいろと試してみたいという気持ちを

お持ちの方の参考にと思い書き加えたものです。

 まだまだ、いろいろと工夫することがあると思いますが、干し柿作りをするそれぞれの方に合った、

自分流の干し柿の作りを編み出していくのも楽しいのではないでしょうか。

1.追熟について
(1)追熟の程度の判断


 追熟の程度と干し始めから干し上がりまでの日数との間には、前編で紹介しましたように、おおよその関係があります。しかし、はっきりとした

特定の関係を把握するのは難しそうです。ここでは、干し柿作りを楽しむことが目的ですので、難しいことは追求しないことにして、

できるだけ分かりやすく追熟の程度の判断方法を紹介します。

 渋柿の場合、へたの周りの部分から熟していきます。収穫直後は全体が硬い状態ですが、はじめにへたの周りが軟らか味を帯び始め、

その後胴の部分に軟らか味を感じるようになります。

 へたの周りが少し軟らかくなった時に皮むきをして、皮むきをした柿の表面がぬめぬめとした状態で、表層部に軟らかみがあり、

柿全体が軟らかすぎなければ、適度な追熟の状態と判断するのもひとつの方法です。


(2)追熟のバラツキを減らすには

 同じ収穫時期の柿、同じ箱の柿、同じ時期に入手した柿などであっても、どうしても熟し方にはばらつきがあります。特に、軟らかいあんぽ柿を作る際には、

追熟の程度を揃える方がいいのですが、例えば、同じ箱の中の柿でも、それはなかなか難しいといえます。

 そのような場合の対策のひとつは、例えば、数箱(1箱でも構わないのですが)の原料柿を入手し、その中から追熟の程度が揃ったものを選んで、何回かに分けて

干し始めることです。軟らかい干し柿を沢山作りたい方には適した方法と思います。

 もうひとつ、次に紹介する追熟を早める方法もあります。追熟が遅れている柿を選んで、その分だけ追熟を早めて、追熟のばらつきを減らす方法です。

 

(3)追熟を早めるには

 追熟が思うように進まない場合、早く追熟させたい場合などには、比較的簡単に追熟を促進させることができます。

 例えば、原料柿数十個に、りんごを2、3個混ぜて、できれば袋などに入れて封をすると数日で追熟が進みます。ただし、その効果の現われ方は、

封の状態、気温などの影響を受けると思われますので、毎日追熟の状態を確認するのがいいでしょう。

 一般に、りんごはガス状のエチレンを発生し、そのエチレンが果物などの熟成を促進するといわれています。また、りんごは逆さまに置く方が、エチレンの発生が多いそうです。

 

 

りんごによる追熟の効果の例

 三木大和柿の入手も終わった平成19年の12月6日、まだ愛宕柿が販売されていましたので、2箱(20kg、77個)購入しました。

とても硬く3週間経っても干せる状態にはなりませんでしたので、次のとおりりんごの追熟の効果を調べました。

 

1回目

 12月26日  愛宕柿31個とりんご3個をビニール袋に入れて追熟開始

 12月28日  干し始め

  1月5日   ほぼ干し上がり(一部を残して取り入れ)

 

2回目

  1月5日   愛宕柿23個とりんご3個をビニール袋に入れて追熟開始

  1月8日   干し始め

  1月19日  干し上がり(取り入れ)

比較用

 12月30日  愛宕柿23個干し始め

  1月19日  干し上がり(取り入れ) 

 

 

 干し上がったときの外観は、写真8のとおりです。左側は比較用のりんご追熟なし、右側はりんご追熟あり(2回目)のものです。

干す前の柿の大きさは、比較的揃っていましたので、りんご追熟なしの方は干す期間が長かった分、乾燥が進み小さくなったものと思われます。

写真8 りんご追熟の効果(左側:りんご追熟なし、右側:りんご追熟あり)
写真8 りんご追熟の効果(左側:りんご追熟なし、右側:りんご追熟あり)

写真8の干し上がり柿の内部の状態は、写真9、10のとおりです。写真9は写真8の左側の柿(りんご追熟なし)、

写真10は写真8の右側の柿(りんご追熟あり)です。追熟できている方が、おいしそうに見えることでしょう。

 写真9(りんご追熟なし)
 写真9(りんご追熟なし)
写真10(りんご追熟あり)
写真10(りんご追熟あり)

りんごを使わなくても放置しておけば追熟は進みますが、早く追熟させたい場合は、

りんごによる追熟はかなり効果があることが分かりました。

 適宜利用してみるのもいいのではないでしょうか。

 なお、愛宕柿の場合には、三木大和柿とは違って、写真9及び10に見られるように、中心部に芯状の筋があります。

このことは、1年前に干し柿を作ったときの愛宕柿の内部の状態を写真6に示しましたが、その時とほとんど同じ結果でした。

これは愛宕柿特有の性質のようです。

 

 

 

2.干し方と干し上がり

(1)干し上がり

 軟らかくなって、渋みが抜けた直後は、本当にとろりとしておいしい干し柿になっていますので、干し上がるのを待って口にするのが

もっともいい食べ方で、作る人にしか味わえない特典です。

 ただ、一度に沢山できすぎた場合や、自慢の干し柿の味を他の人にも味わってもらいたい場合など,

口に入るまで少し日数が経過することがあります。

 そのような時には、軟らかくなった柿をさらに少なくとも数日干し続けて、表面が少し硬めになるまで干すのが良さそうです。

表面が少々硬くなっても中は軟らかいですし、それほど味も変わりません。そのような干し上がりの方が、取り扱いが容易です。

 適度に追熟されて、干し上がりが軟らかい柿の場合には、追熟なしに長期間かけて作られる硬い干し柿と違って、

渋味が抜けた後しばらく干しても、中まではそうすぐには硬くなりません。

 

 

(2)落下防止

 十分に追熟させた場合、中にはへたの周りが軟らかくなりすぎて、干している最中に柿自体の重さに耐えかねて、

へたとその周りの果肉を残して吊り紐から落下したり、落下しそうになったりすることがあります。また、追熟が進みすぎて、

干すことができないほど軟らかくなってしまう柿もあります。

 写真11は、干している時に、へたのすぐ下の部分で千切れそうになった柿の例です。へたの下の部分が絞られたように細くなっています。

このままでは落下してしまいます。

 そのような場合は、吊って干すのではなく、簀巻きや網など、下側もある程度風が通るものの上で日干しするのもひとつの方法です。

写真12は、干している間に落下しそうになった柿と、皮むきをした時に、すでに軟らかくなりすぎていた柿(いずれも大和柿)を

簀巻きの上で干したものです。写真12は、ほぼ干し上がりの時の状態です。ご参考までに、その時の重さも表示しました。

 このような干し方をしたものと、吊して干したものとで、味に変わりはありません。

写真11 千切れそうになった柿
写真11 千切れそうになった柿
写真12 簀巻きの上で干した柿
写真12 簀巻きの上で干した柿

3.保存について

 干し柿作りができる期間(原料柿が入手できる期間)は、11月中旬から1ヶ月ほどの比較的短い期間です。硬く乾燥させた干し柿の場合は、

長期間保存することができます。しかし、軟らかいあんぽ柿の場合、冷蔵庫で1週間も保存すると表面が湿気を帯びたようになって、味が落ちてしまいます。

 冷凍保存すると、2、3ヶ月間は大丈夫そうですが、解凍の仕方を工夫すると、簡単な方法で、干し上がりの時に近い味にすることができます。

 その方法は次のとおりです。

(イ)冷凍された干し柿を、原料柿を吊した時のように紐に吊す。

(ロ)解凍された後も、少なくとも数日間、室内又は戸外で干して乾燥させる。

 

 これだけです。写真13は、約2ヶ月間冷凍保存した後、上記(イ)及び(ロ)で解凍したもの(写真右)と、冷凍保存した後冷蔵庫で解凍したもの

(写真左)の外観を示したものです。冷蔵庫で解凍したものは、表面が湿った状態になります。一方、干して解凍したものは、少し硬めになり、

表面にはうっすらと白い粉が現われます。中身は、干し上がり当時に近い状態で、冷蔵庫で解凍したものなどに比べると、おいしくいただくことが

できます。(写真13では、冷蔵庫で解凍した柿のへた側が黒くなっていますが、これは硫黄薫蒸の効果が弱く、硫黄のガスが

上部側に十分当たらなかったためと思われます。)


 軟らかい干し柿を沢山作って、長期間おいしく味わいたい場合には、かなりいい方法です。ぜひお試しください。

写真13 冷蔵庫で解凍した柿(左)と干して解凍した柿(右)
写真13 冷蔵庫で解凍した柿(左)と干して解凍した柿(右)

兵庫県 藤井氏よりの 御好意により 掲載させて頂きました、改めて お礼申し上げます。